フリーランスが仕事を探すときによく使用されるクラウドソーシングサイト。
企業や個人からのさまざまな仕事の依頼が掲載されており、実際に使用しているフリーランスも大勢います。
しかしインターネット上でクラウドソーシングサイトについて調べていると、「やめておいた方がいい」「儲からない」といった意見があるもの事実です。
そこで今回は、フリーランスがクラウドソーシングサイトを使用して仕事をするメリットとデメリットを紹介します。
フリーランス歴3年、クラウドソーシングサイトで250件以上仕事を受注した筆者の体験談も登場します。
クラウドソーシングサイトを使用して仕事を受注するか、このままクラウドソーシングサイトで仕事を探し続けても良いか気になっているフリーランスの方は、ぜひ参考にしてみてください。
クラウドソーシングサイトとは
クラウドソーシングとは、企業や個人が仕事を委託するため、インターネットを介して不特定多数の人に募集をかけることです。
クラウドソーシングサイトは企業や個人が委託したい仕事を自由に掲載し、仕事を探している人が自分が携われる分野の仕事を探しやすくしたサイトを指します。
クラウドソーシングサイトに掲載されている仕事は、アンケートの回答、システム・アプリ開発、ホームページ制作、動画・画像の作成、ライティングなどさまざまです。
なかにはほぼ毎日8,000件以上の仕事が掲載されているクラウドソーシングサイトもあり、仕事を探す手軽さやサポート体制の手厚さから、利用するフリーランスは大勢います。
フリーランスがクラウドソーシングサイトを使用するメリット
独立したばかりのフリーランスはもちろん、活動歴が長いフリーランスも使用しているクラウドソーシングサイト。
なかには470万以上の個人や企業が登録しているサイトもあり、人気度の高さが伺えます。
ここではフリーランスがクラウドソーシングサイトで仕事をするメリットを、クラウドソーシングサイトの特徴や筆者の体験談を交えながら紹介します。
世界中どこからでも仕事を探して受注できる
クラウドソーシングサイトをフリーランスが使用するメリットとして挙げられるのは、場所を選ばず仕事を探して受注できることです。
インターネット環境さえ整っていれば、九州在住の方が東京の会社の仕事を受注したり、海外の企業・個人からの仕事を日本に居ながら探したりできます。
自分の生活拠点の場所に関わらず仕事を探して受注できるため、「携わってみたい」と思っていた案件に出会いやすい環境が整っているのが魅力です。
私は関西に在住していますが、東北・関東・中国地方に拠点を置いている企業や個人からも仕事を受注しています。
仕事の数が豊富
クラウドソーシングサイトは他の求人情報サイトと同様、複数の仕事が常に募集されています。
メール・SNS・電話を使用して企業や個人と1件ずつ連絡を取り、自分が携われる仕事がないか尋ねて回る手間を省けるのが魅力です。
私がよく使用しているクラウドソーシングサイト「クラウドワークス」では、ほぼ毎日5,000件以上、多い時は10,000件以上の仕事が募集されています。
いろんな案件に挑戦しやすい
クラウドソーシングサイトは、複数の企業や個人が募集している仕事をまとめて掲載しているサービスです。
いろんな人が募集情報を掲載しているぶん、仕事内容も千差万別。
例えばホームページ・Webデザインの場合、CMS導入、ランディングページ(LP)制作、HTML・CSSコーディングなどさまざまな仕事が募集されています。
「次は新しく覚えたこの技術を使用した仕事に挑戦してみたいな」「マンネリ化してるから今までと違う案件を受注したい」のように、スキルアップや仕事の継続にも効果的です。
きちんと報酬を支払ってもらえる
残念なことに、世の中には仕事を依頼したにも関わらず、完成したものを受け取ったら報酬を支払わず音信不通になるクライアントも存在します。
フリーランスは会社員のように決まったお給料が支払われるわけではないため、報酬の有無は生活に直結する重要な事柄です。
多くのクラウドソーシングサイトでは「仮払い」「前払い」という制度を設けており、仕事を受注した人の報酬が保証されています。
クライアントが報酬を仮払い・前払いするまで、仕事を受注した人は作業を開始しなくて良いという仕組みです。
受注した仕事が完了し、クライアントからOKをもらい、手続きを進めたら仕事を受注した人に報酬が支払われます。
確実に報酬を受け取りたいフリーランスにとって、クラウドソーシングサイトは安心して仕事を進められるサイトと言えます。
フリーランスになったばかりの頃、クラウドソーシングサイトを介さず仕事を受注したときに、報酬が支払われなかったり作業途中なのに連絡が途絶えたりしたことがありました。その点クラウドソーシングサイトは仮払い制度で報酬の支払いが保証されているので、安心して利用できました。
副業で受注しやすい案件が充実している
クラウドソーシングサイトでは、単発の案件がたくさん募集されています。
数週間~数カ月間の継続ではないぶん、本業が落ち着いているときに多く受注し、忙しいときは受注を控えるなど仕事の量を調整しやすいのが特徴です。
副業でフリーランスとして働く方にとって、クラウドソーシングサイトは利用しやすいサービスと言えるでしょう。
モチベーションを保てる制度を設けている
クラウドソーシングサイトの多くは、利用者のモチベーションを保てるようランク制度のようなものを導入しています。
受注した仕事の数、クライアントからの評価、報酬金額の合計などをもとに、会員登録しているすべての利用者のなかでも特に精力的に活動している人をクローズアップする制度です。
ランクが上がれば上がるほど発注者側からの信頼度も上がって仕事を受注しやすくなったり、一定のランクを満たした会員にのみ公開される高単価案件を探したりもできます。
日々の積み重ねが目に見えて評価されるため、利用者としてもモチベーションが上がり、活動意欲や学習意欲がより掻き立てられるでしょう。
クラウドワークスでPRO Crowd Workerに選出されてから、仕事の成約率が上昇し、自分で仕事を探さなくても企業や個人の方から「うちで仕事をしませんか」と声をかけていただけるようにもなりました。
トラブルの防止対策がしっかりしている
クラウドソーシングサイトで仕事を募集しているクライアントのなかには、個人情報の収集や、自社サービスを受注者に利用・購入させることを目的としている組織・個人が一定数存在します。
クラウドソーシングサイトではこのような悪質な発注者から受注者を保護するため、運営が間に入ったり通報システムを設けたりして、怪しい仕事を受けなくて済むような環境を整えています。
個人的にやり取りする場合はすべて自己責任で注意しなければなりませんが、クラウドソーシングサイトを介することで落ち着いて仕事を受注できるでしょう。
特にフリーランスとして働き始めたばかりの方や、怪しいクライアントと仕事をするのを避けたい方にとっては心強い取り組みと言えます。
クラウドソーシングサイトで仕事に応募したとき、「このLINEを登録してください」とメッセージが来たことがありました。怪しいと思い私は放置していたのですが、メッセージが来た数時間後には仕事の募集が取り消されていました。運営側が見回りをしてくれているのは、心強いと思います。
福利厚生が整っているサービスもある
フリーランスは、基本的には会社員のような雇用保険や労災保険といった福利厚生を受けられません。
何かあってもほとんどを自力で対処しなければならいというのは、多くの人にとって不安なことでしょう。
そこで一部のクラウドソーシングサイトでは、会員登録している方を対象とした福利厚生サービスを実施しています。
福利厚生の内容はがん保険の紹介や育児介護サービスの割引きなど、サイトによってさまざまです。
利用するクラウドソーシングサイトを決める際は、福利厚生の充実度を考慮してみるのも良いでしょう。
フリーランスがクラウドソーシングサイトを使用するデメリット
さまざまな仕事を探せることや、福利厚生サービスの実施など、クラウドソーシングサイトにはフリーランスにとってありがたいメリットがたくさんあります。
その一方で、「ここがもっと良かったらなぁ・・・」と思うようなデメリットもちらほら。
ここではフリーランスがクラウドソーシングサイトを利用するデメリットを紹介します。
報酬が低い案件が多い
クラウドソーシングサイトをフリーランスが利用するデメリットとしてまず挙げられるのは、報酬が低い案件が多いことです。
とあるクラウドソーシングサイトのライティング分野の案件を見てみると、1,860件掲載されている仕事のうち513件が文字単価1円以下で、文字単価2円以上の仕事は144件でした。
副業フリーランスとして活動しており本業の収入もある人でない限り、クラウドソーシングサイトの報酬だけで生活費すべてをまかなうのは少々骨が折れるのが現状です。
クラウドソーシングサイトはフリーランスとして独立する前の実績作りや、初心者で高額案件を受けるのが難しいときに使用するのが良いかもしれません。
クラウドソーシングサイトにも、高単価案件がまったくないわけではありません。しかし報酬が高額な仕事は競争率も高いので、ある程度実績を作ってから応募するようにしました。
継続して受注できる案件が少ない
クラウドソーシングサイトには、単発案件がよく掲載されている傾向にあります。
単発案件とは、1回きりの依頼である仕事のことです。
副業でクラウドソーシングサイトを利用している方には本業の予定を加味して受注スケジュールを調整できるメリットがあるのですが、本業のフリーランスとして活動している方にとっては収入が不安定なことになりかねません。
納品して仕事が完了したら、その都度次の仕事を探さなければならないのを手間に感じるケースもあります。
ある程度経験を積んだら「週1回ペースで納品していただきたいです」「3カ月以上の長期契約を結べる方を募集しています」といった継続案件を受注することをおすすめします。
クラウドソーシングサイトを利用する際は、最終的には継続案件を受注できるよう、計画的に単発案件に応募していました。クラウドソーシングサイトを利用するなかで、単発案件メインから継続案件メインに切り替えるタイミングを見計らうのが大切だと思います。
報酬から利用手数料が引かれることがある
クラウドソーシングサイトによっては、サイトの利用手数料が報酬から差し引かれるものがあります。
利用手数料の額はクラウドソーシングサイトにより異なり、取引額の3~20%と幅広いのが特徴です。
例えば利用手数料が報酬額の10%の場合、5万円の仕事を受注しても、自分の報酬として実際に手元に残るのは4万5,000円という計算になります。
また、クラウドソーシングサイトから自分の銀行口座に報酬を支払う際に、100~500円の支払手数料が差し引かれることも。
「せっかく一生懸命仕事をしても一部は運営に取られるんだよね」「クラウドソーシングサイトを介さない直接契約なら全額自分の報酬だったのに」と感じて少しモヤモヤする場面もあるかもしれません。
私も心当たりのあるデメリットです。報酬額8万円で契約したのに、利用手数料が差し引かれて手元に渡る報酬が6万4,000円になったこともありました。モヤモヤし始めてからは、少しずつ直接契約も視野に仕事を獲得するようにしています。
仕事の依頼を目的としていないクライアントがいる
クラウドソーシングサイトを使用しているクライアントのなかには、仕事の依頼を目的としていない組織・個人も存在します。
それではなぜクラウドソーシングサイトを使用しているのかというと、個人情報を収集したり、自社サービスや商品を販売したりするためと考えられます。
仕事内容は普通だったのに、いざやり取りを始めると「このアカウントを登録してください」「この商品を購入した方に仕事を受注してもらいます」といったメッセージが送られてくることも。
クラウドソーシングサイトの運営に通報するか無視すれば良いのですが、「時間を返して欲しい」と少々不快な気持ちになるかもしれません。
実際に私も、応募文に対して「このSNSアカウントを登録し、商品を購入して勉強してから仕事をしてもらいたいです」といった旨のメッセージが返ってきたことが何度かありました。
外部ツールでやり取りするには承認が必要なことも
クラウドソーシングサイトを利用しているクライアントのなかには、「仕事のやり取りはSlackやChatworkのようなチャットツールを使いたい」と要望を出す人もいます。
しかしクラウドソーシングサイトのなかには、原則外部のツールでのやり取りを認めていないものもあります。
外部ツールでのやり取りを認めない理由としては、サイト内ですべてのやり取りを完了させることを前提としてサービスを提供していることが考えられます。
もちろん、クラウドソーシングサイトを使用する際、外部ツールを絶対使ってはいけないわけではありません。
基本的にはサイト外で連絡する旨を運営会社に申請し、承認を受ければ外部ツールでやり取りできるようになります。
ただし場合によっては、申請してから承認を受けるまでに2営業日ほどかかるケースも。
すぐに契約して仕事を始めたい方にとっては、少々もどかしさを感じるかもしれません。
利用者が多いクラウドソーシングサイトを紹介
昨今、クラウドソーシングサイトはたくさんリリースされており、どれに会員登録するか迷うこともあるでしょう。
そこで今回は会員登録者数が多く、駆け出しのフリーランスにもおすすめのクラウドソーシングサイトを2つ紹介します。
ランサーズ
ランサーズは、日本で初めて公開されたクラウドソーシングサイトです。
会員登録者数は110万人を超えており、業界をけん引するサービスのひとつと言えます。
募集している仕事の分野はサイト構築、マーケティング活動、動画編集、ロゴ作成などさまざま。
ランク制度や24時間365日のサポート体制も整えており、初心者でも利用しやすいサイトです。
クラウドワークス
クラウドワークスは、2012年にサービスを開始したクラウドソーシングサイトです。
会員登録者数は470万人、利用している企業数は76万社、仕事の種類は200種類以上で、かなり規模が大きいサービスと言えます。
会員限定の保険や各種割引サービスといった、福利厚生が充実しているのも魅力的。
ランサーズと併用しているフリーランスもいるほど人気の高いクラウドソーシングサイトです。
まとめ
クラウドソーシングサイトでは常にたくさんの仕事が募集されており、フリーランスにとって便利なサービスです。
なかには会員登録者数が400万人を超えているものもあり、クラウドソーシングサイトを利用する人が大勢いることが伺えます。
今回紹介したフリーランスがクラウドソーシングサイトを使用するメリットとデメリットは、以下のようなものでした。
メリット | ●世界中どこからでも仕事を探して受注できる・仕事の数が豊富 ●いろんな案件に挑戦しやすい ●きちんと報酬を支払ってもらえる ●副業で受注しやすい案件が充実している ●モチベーションを保てる制度を設けている ●トラブルの防止対策がしっかりしている ●福利厚生が整っているサービスもある |
デメリット | ●報酬が低い案件が多い ●継続して受注できる案件が少ない ●報酬から利用手数料が引かれることがある ●仕事の依頼を目的としていないクライアントがいる ●外部ツールでやり取りするには承認が必要なことも |
クラウドソーシングサイトを上手に活用すると、フリーランスにとって心強い収入源になります。
クラウドソーシングサイトを利用するか迷っている方は、まずは会員登録してみてはいかがでしょうか。